ハードロック史上の傑作の一つであるDEEP PURPLE の5枚目のアルバムは、何度目かの中東戦争が迫る1970年半ばに発表されましたが、ROLLING STONES誌が「MC5を思わせる音作りの、ダイナミックで熱狂的な作品」と呼んだこのアルバムを、この世に解き放つにふさわしい世情だったと言えます。
本作はメンバーチェンジ後の所謂第2期での初のスタジオ作品で、ハードロックバンドとしてのDEEP PURPLEの始まりとして知られています。後の作品と比べるとアートロックやサイケデリックロックの要素がまだ強いことが特徴です。
ジェフ・ベック・グループやレッド・ツェッペリンの影響を排したかのような本作の音楽性は、ひたすらソリッドなもので、ここで聴けるハードロックは虚飾を排した機能美を誇っています。
元々はジョン・ロードが音楽的主導権を握っていましたが、レッド・ツェッペリンの影響を受けてハードなロック・アルバムを作りたいとのリッチ―・ブラックモアの提案を受け、制作されたという背景があります。
このジャケットは、アメリカのサウスダコタ州にあるラモシュア山にアメリカの4人の大統領の顔が掘られた岩がありますが、その岩をもじったもので、タイトルの「IN ROCK」の“rock”は当然ながら岩という意味と、音楽のロックの二つの意味を込めてあります。
【Track Listing】
1."Speed King"
2."Bloodsucker"
3."Child in Time"
4."Flight of the Rat"
5."Into the Fire"
6."Living Wreck"
7."Hard Lovin' Man"
【全曲解説】
1.「スピード・キング」…イアン・ギランのハイトーンシャウト、ドライブするロジャーのベース、イアン・ペイスのハイスピードなドラミング、ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアのジャジーな掛け合いが光るオープニングナンバー。曲自体はジミ・ヘンドリックスの「Fire」を参考にし、ギランは歌詞をリトル・リチャード等のフレーズを引用したものです。
2.「ブラッド・サッカー」…シンプルなリフの繰り返しとシャウトで構成されたヘヴィな曲。リッチ―・ブラックモアのアーム・プレイが印象的。ここでもギランのシャウトも凄まじく 、リッチーのリフが冴えわたり、ロジャーとロードとのユニゾンも曲に厚みを加えていて、ソロよりもバッキングを重視しています。
3.「チャイルド・イン・タイム」…イッツ・ア・ビューティフル・デイというバンドの「Bombay Calling」という曲を元に作られた10分を超える大作。静謐なオルガンのイントロからギランのボーカルで静かに始まり徐々に盛り上がっていき、やがてギターが加わり頂点に達し、中盤でのギターソロは圧巻で、それが終わるとまたキーボードとボーカルの静寂の世界に戻るという、基本的には3コードの反復で構成されていますが、クラシック趣味も漂わせた大仰な展開と緩急で全くだれずに聴く者を圧倒します。ギランの超高音スクリームやシャウト(その音程)とリッチ―の速弾きギターソロが圧巻。
4.「フライト・オブ・ザ・ラット」…アップ・テンポで明るめな疾走系のロックンロール。珍しくワウ・ペダルを使ったギタープレイが印象的。間奏では長尺インプロヴィゼーションが展開され、なかなかスリリング。
5.「イントゥ・ザ・ファイア」…本作で最も重い曲で、イントロのギターやベース、キーボードのユニゾンによるリフが耳に残ります。珍しくルーズなリズムを刻むペイスに合わせ、引きずるようなギターが壁のように立ちはだかります。ギターリフはピックをゴリゴリと弦に擦りつけるようにしてアタックの強いピッキングでビートを強調したサウンドを演出しています。
6.「リヴィング・レック」…ドラムのフェード・インから始まるノリの良いナンバー。ロジャーのベースがメロディアスで、ロードもロックなオルガンサウンドを聴かせます。バッキングギターのブラッシングが格好いい。
7.「ハード・ラヴィン・マン」…バンドのアドリブ力が発揮された演奏重視の、ドライヴィング・ナンバー。不協和音のようにうねりまくったジョンのオルガンと、リッチーのギターのハーモニープレイがスリリング。
【リリースデータ】
1970年6月3日
【チャート成績・売上】
ビルボード誌アルバムチャート最高位143位/全英アルバムチャート最高位4位・ゴールド(50万枚)
1.「スピード・キング」…イアン・ギランのハイトーンシャウト、ドライブするロジャーのベース、イアン・ペイスのハイスピードなドラミング、ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアのジャジーな掛け合いが光るオープニングナンバー。曲自体はジミ・ヘンドリックスの「Fire」を参考にし、ギランは歌詞をリトル・リチャード等のフレーズを引用したものです。
2.「ブラッド・サッカー」…シンプルなリフの繰り返しとシャウトで構成されたヘヴィな曲。リッチ―・ブラックモアのアーム・プレイが印象的。ここでもギランのシャウトも凄まじく 、リッチーのリフが冴えわたり、ロジャーとロードとのユニゾンも曲に厚みを加えていて、ソロよりもバッキングを重視しています。
3.「チャイルド・イン・タイム」…イッツ・ア・ビューティフル・デイというバンドの「Bombay Calling」という曲を元に作られた10分を超える大作。静謐なオルガンのイントロからギランのボーカルで静かに始まり徐々に盛り上がっていき、やがてギターが加わり頂点に達し、中盤でのギターソロは圧巻で、それが終わるとまたキーボードとボーカルの静寂の世界に戻るという、基本的には3コードの反復で構成されていますが、クラシック趣味も漂わせた大仰な展開と緩急で全くだれずに聴く者を圧倒します。ギランの超高音スクリームやシャウト(その音程)とリッチ―の速弾きギターソロが圧巻。
4.「フライト・オブ・ザ・ラット」…アップ・テンポで明るめな疾走系のロックンロール。珍しくワウ・ペダルを使ったギタープレイが印象的。間奏では長尺インプロヴィゼーションが展開され、なかなかスリリング。
5.「イントゥ・ザ・ファイア」…本作で最も重い曲で、イントロのギターやベース、キーボードのユニゾンによるリフが耳に残ります。珍しくルーズなリズムを刻むペイスに合わせ、引きずるようなギターが壁のように立ちはだかります。ギターリフはピックをゴリゴリと弦に擦りつけるようにしてアタックの強いピッキングでビートを強調したサウンドを演出しています。
6.「リヴィング・レック」…ドラムのフェード・インから始まるノリの良いナンバー。ロジャーのベースがメロディアスで、ロードもロックなオルガンサウンドを聴かせます。バッキングギターのブラッシングが格好いい。
7.「ハード・ラヴィン・マン」…バンドのアドリブ力が発揮された演奏重視の、ドライヴィング・ナンバー。不協和音のようにうねりまくったジョンのオルガンと、リッチーのギターのハーモニープレイがスリリング。
【リリースデータ】
1970年6月3日
【チャート成績・売上】
ビルボード誌アルバムチャート最高位143位/全英アルバムチャート最高位4位・ゴールド(50万枚)