Black_Sabbath_Heaven_and_Hell
元RAINBOWのロニー・ジェイムズ・ディオ参加の第1作目にして、HM・HR史上屈指の名盤として名高い通算10作目のアルバム。

ロニーがバンドに持ち込んだテイストである様式美や中世のヨーロッパの薫りが、BLACK SABBATHの神秘的な要素とのケミストリーで、ヘヴィでダークでありながら、ドラマティックで美しいという独自の世界を創造しています。これは元々バンドが持っていた起伏や静動という要素が、ロニーのメロディアスな部分と化学反応を起こし、明確な様式美という世界が構築されたからではないでしょうか。

様式美という観点では、本作のプロデューサーはDEEP PURPLEの「MACHINE HEAD」や「MADE IN JAPAN」を手掛けたことで知られるマーティン・バーチで、ロニーとともに所謂パープル系が作風に寄与しています。

本作のリリース時、折しもNWOBHMムーヴメントが起こっていたこともあり、久々の大ヒットを記録しました。

美しいメタルという作品を提示した本作は、メタルの理想像の一つとして次世代に与えた影響は物凄く大きいものだったと思います。


【Track Listing】
1."Neon Knights"
2."Children of the Sea"
3."Lady Evil"
4."Heaven and Hell"
5."Wishing Well"
6."Die Young"
7."Walk Away"
8."Lonely Is the Word"


【全曲解説】
1.「ネオンの騎士」…従来のおどろおどろしさに気品や威厳が加わり、元々のへヴィさはそのままに様式美の旋律を乗せたオープニング・チューン。トニーのザクザク刻むリフやギターソロの疾走感、ギーザーの存在感抜群のベース、その上にロニーの麗しくファンタジックでパワフルな歌唱パワフルが乗る名曲。まさに両者の最上の部分が融合したドラマティックなナンバー。1stシングルで全英シングルチャート最高位22位。

2.「チルドレン・オブ・ザ・シー」…叙情的なアルペジオとヘヴィなリフによる対比がより鮮やかな激しくも美しいミディアムテンポのバラード調のナンバー。サバスならではのヘヴィネスとドラマティックさが見事に融合した、これも名曲。

3.「レディ・イーヴル」…ギーザ―のベースがうねる邪悪なリフを持ちながらも、コンパクトかつキャッチーに仕上がったRAINBOW色が強いナンバー。アメリカとカナダでシングルカットされました。

4.「ヘブン&ヘル」…ダークでヘヴィかつ荘厳なリフにロニーの哀愁あるメロディと表現力豊かな歌唱が完璧に融合した名曲。スリリングな曲展開も含め、様式美世界の最高到達地点ではないかと思わせる重厚なナンバー。

5.「ウッシンング・ウェル」…ストレート正統派ハードロック・ナンバー。

6.「ダイ・ヤング」…美しいイントロから一転、激しいリフと重いベースが押し寄せるという静と動が同居しつつ美しい調和を奏でる曲構成やドラマティックな展開が見事な名曲。またここで聴けるロニーの歌声はテンションが高く、麗しく珠玉のメロディを紡ぎあげています。2ndシングルで全英シングルチャート最高位41位記録。

7.「ウォーク・アウェイ」…オープンコードの明るめのストレートなハードロック・ナンバー。

8.「孤独の定め」…叙情的なミドルテンポのパワーナンバー。トニーの官能的で美しい泣きのギターがフィーチャーフィされています。


【リリースデータ】
1980年4月25日


【チャート成績・売上】
ビルボード誌アルバムチャート最高位28位/全英アルバムチャート最高位9位・プラチナム(100万枚)