2019年11月

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ハードロック史上の傑作の一つであるDEEP PURPLE の5枚目のアルバムは、何度目かの中東戦争が迫る1970年半ばに発表されましたが、ROLLING STONES誌が「MC5を思わせる音作りの、ダイナミックで熱狂的な作品」と呼んだこのアルバムを、この世に解き放つにふさわしい世情だったと言えます。

本作はメンバーチェンジ後の所謂第2期での初のスタジオ作品で、ハードロックバンドとしてのDEEP PURPLEの始まりとして知られています。後の作品と比べるとアートロックやサイケデリックロックの要素がまだ強いことが特徴です。

ジェフ・ベック・グループやレッド・ツェッペリンの影響を排したかのような本作の音楽性は、ひたすらソリッドなもので、ここで聴けるハードロックは虚飾を排した機能美を誇っています。

元々はジョン・ロードが音楽的主導権を握っていましたが、レッド・ツェッペリンの影響を受けてハードなロック・アルバムを作りたいとのリッチ―・ブラックモアの提案を受け、制作されたという背景があります。

このジャケットは、アメリカのサウスダコタ州にあるラモシュア山にアメリカの4人の大統領の顔が掘られた岩がありますが、その岩をもじったもので、タイトルの「IN ROCK」の“rock”は当然ながら岩という意味と、音楽のロックの二つの意味を込めてあります。


【Track Listing】
1."Speed King"
2."Bloodsucker"
3."Child in Time"
4."Flight of the Rat"
5."Into the Fire"
6."Living Wreck"
7."Hard Lovin' Man"



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BlurParklife
90年代のUKロックシーンの頂点に立つ歴史的名盤、BLUR の「Parklife」

モッズとかパンク、ミュージックホール(19世紀から20世紀半ばの英国で庶民に愛された大衆芸能で、演劇と歌とコメディのミクスチュア)、ディスコ、ブラス、ビートルズ、キンクス、デヴィッド・ボウイといった英国のロック・ポップス史を呑み込み、そういった音楽遺産だけでなく、カルチャーや社会生活、ライフスタイルなど様々な側面から英国というものを打ち出したアルバムです。

また、プロデューサーのスティーヴン・ストリートはザ・スミスとの仕事で頭角を現し、ブリティッシュな美意識で作品を貫いている人物。

質の高い充実した楽曲群だけでなく、英国の日常を鋭い観察眼でシニカルでありコミカルに描写した歌詞(これもまた英国ならではの事象や場所にまつわる語彙を駆使しています)も秀逸です。

いわば、隅々までブリティッシュな香りで満ち溢れたショート・ストーリー集ともいえる作品です。


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Ggdaboy
「世界で最も有名な無名バンド」と評されてきたアメリカの3ピースバンドが95年に発表した5thアルバム。

本作では、骨太さがありつつエモーショナルでメロディアスなアメリカンロックを聴かせます。飾り気のない格好よさを感じさせるギターに、フック満載のスピーディで且つメロディアスで哀愁を感じさせる歌メロが乗る、これぞ王道のアメリカンなロックといったサウンドです。

以前からバンドが持っていたパンクにインスパイアされた荒さと、その当時のアダルトオルタナティブの特色であったポップスの分かりやすさを見事に融合させた、非常にクオリティの高い作品であると思います。

それはヴォーカル兼ギターのジョン・レズニックの奏でるギターメロディー、カリスマ的で恐ろしいボーカルレンジ、そして巧妙な歌詞が大きく作品に寄与しているからだと思います。


【Track Listing】
1."Long Way Down"
2."Burnin' Up"
3."Naked"
4."Flat Top"
5."Impersonality" 
6."Name"
7."Only One"
8."Somethin' Bad" 
9."Ain't That Unusual"
10."So Long"
11."Eyes Wide Open"
12."Disconnected" 
13."Slave Girl"



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Sixteen_Stone
ブリット・ポップ全盛のイギリスから登場し、その当時は「NIRVANAのパクリ」だとか、「アイドル・グランジ」だとか散々な言われようだったバンドのデビュー作。

確かにリフなどNIRVANAを始めグランジの先駆者たちに似ているものも多く、メロディの質も弱くフックやキャッチーなコーラスは物足りなく、歌詞は中身がないとネガティヴな面も多々見受けられます。

ただ、ざらついたサウンドにハスキーな声が乗っかり、サビにかけてのダイナミズム、静から動へ移行する曲の展開(静かな曲調から、ノイジーな展開)、コード進行のパターンが少ない単純な構成、歌メロはポップというスタイルとしてのグランジを具現化したしたようなアルバムであり、そういったこのバンドの特徴が散りばめられた作品です。

グランジのアルバムとして、革新的なものではありませんが、本作はグランジとポストグランジ時代の橋渡しのような役割を果たした記念碑的な作品であると思います。


【Track Listing】
1."Everything Zen"
2."Swim"
3."Bomb"
4."Little Things"
5."Comedown"
6."Body"
7."Machinehead"
8."Testosterone"
9."Monkey"
10."Glycerine"
11."Alien"
12."X-Girlfriend"



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Stonetemplepilotspurple
デビュー作の「CORE」が大ヒットしたものの、PEARL JAMの二番煎じだとか、似非グランジであるとか散々評論家から叩かれたバンドが王道路線をそのままに、開き直ったかのように自分たちらしい個性を発揮し始めたセカンドアルバム。

本作では、前作の持ち味であった焼け付くような重さは抑えられ、メロディの美しさをより強調した作りとなっているのが特徴です。

彼らの基盤となっている音楽性や個性…強靭なグルーヴ感や異常なテンションの高さ、そして色彩溢れる目くるめくようなサイケデリアが良い形で表出している作品です。

また本作のジャケットですが、東洋風のイラストが描かれたもので、そこに書かれた「紫」という漢字から、このアルバムは一般に"PURPLE"と呼ばれています。


【Track Listing】
1."Meatplow"
2."Vasoline"
3."Lounge Fly"
4."Interstate Love Song"
5."Still Remains"
6."Pretty Penny"
7."Silvergun Superman"
8."Big Empty"
9."Unglued"
10."Army Ants"
11."Kitchenware & Candybars"


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